『源氏物語』若紫 北山の垣間見 その1 現代語訳 おもしろい よくわかる古文

光源氏の回想風

【源氏物語】若紫 その1 の原文冒頭

もいと長きにつれづれなれば、夕暮れのいたう霞みたるにまぎれて、かの小柴垣のもとに立ち出で給ふ。人々は帰し給ひて、惟光朝臣とのぞき給へば、ただこの西面にしも、持仏据ゑ奉りて行ふ尼なりけり。簾少し上げて、花奉るめり。中の柱に寄り居て、脇息の上に経を置きて、いとなやましげに読みゐたる尼君、ただ人と見えず。四十余ばかりにて、いと白うあてにやせたれど、面つきふくらかに、まみのほど、髪のうつくしげにそがれたる末も、なかなか長きよりもこよなういまめかしきものかなと、あはれに見給ふ。
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【源氏物語】若紫 その1 のあらすじ

光源氏18歳の話。
病気治癒祈願のために北山を訪れた源氏は、通りかかった家を垣間見し、密かに恋焦がれる藤壺によく似た少女を見た。光源氏と後の最愛の妻、紫の上の出会い。

【源氏物語】若紫 その1 の超現代語訳

日がとても長くなって、することがなくて持て余しぎみだから、いいこと思いついたんだ。

垣間見しようかって。
垣間見ってのは、合法的な覗きってことになるんだけど、
僕の時代は結婚前の女の人を近くで見るってできないんだよ。

女の人は人目につかないように生活するのが普通なんだ。
部屋の端にも滅多に行かなくて、御簾の中とかで過ごすんだよ。

だから男は年ごろの素敵な女性がいるって知ったら、
気づかれないように物陰からこっそり見ていいんだよ。
女性の方もどこかで情報掴んで、
来るかもって、
気をつけたりしてるんだけどね。

夕暮れでとっても霞深いのに紛れれるから、例の小柴垣の所へ出掛けたんだ。

他の人は帰して、惟光と二人だけ。
信頼できるやつしか連れてかない。
大事なところだからね。

小柴垣がきれいにしてあるお宅なんだ。
そっとのぞくとこの西向きの部屋に仏様をおすえなさって、
一心に拝んでいる尼様がいらした。
簾を少し巻き上げて花をお供えされるみたい。
信心深いことだよね。

部屋の真ん中にある柱に寄りかかって座って、
肘かけの上にお経を置いて、
とっても気だるそうにお経を読まれてる尼様。
雰囲気からすると只人には見えない。

四十歳くらいなんだけど、
すごく色白で、痩せてはいるけど、頬のあたりには張りもある。

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目の辺りや、尼様だから髪は短くされてるんだけど、
きれいに切り揃えられてる毛先なんかも、
だらだらと伸ばしてるよりずっと今風でいい感じだなぁとしみじみと見入っちゃったんだ。
惹かれるって不思議な感情になったんだよね。

しばらく見てたら、こざっぱりした 女房が二人ほど、
それから召使の少女たちも部屋から出たり入ったりして遊んでいるのが見えたんだ。

子どもは何人かいたんだけど、
そん中の一人から僕は目が離せなくなってしまったんだよ。

10歳くらいかなぁ、
白い襦袢の上に、山吹色の肌になじんだ着物を着て、
走ってきた女の子は他のたくさんいる女の子達とは格段に違ってたんだよ。
大人になった姿が目に浮かぶような可愛らしさなんだ。

髪は扇を広げたるやうにゆらゆらして、
顔はと言えば、泣いた後だからこ赤くこすって泣きながらすったってる。
それはもう釘づけだよ。

「何の騒動なんですか。他の子たちと喧嘩なさったのかしら」
と言って、
見上げた尼君のお顔と泣いてる女の子が少し似てたんだよね。
だから尼君の娘なのかなと見てたんだ。

女の子は
「すずめの子をね、犬君がね逃がしちゃったの。伏籠の中にこ捕まえといたのに。」
と言って、随分悔しがっていた。

この座っている女房が
「全く犬君ったらいつもこういううっかりなことして、また叱られるのよね。
ダメな子ね。
怒れちゃうわ。
雀はどこに逃げちゃったのかしら。
せっかく、ようやくだんだん可愛くなってきたのにねぇ。
カラスなんかに見つけられたら大変だわ」
と立っていった。
この人も髪がふさふさして、とっても長くて感じの良い人なんだ。

少納言の乳母って他の人言ってるらしい。
この人は女の子の世話役みたいだ。

古文【源氏物語】若紫 その2 おもしろい よくわかる現代語訳 へ続く

『源氏物語』若紫 北山の垣間見その2 現代語訳 おもしろい よくわかる古文

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