新聞に学校ネタが載らない日はないというほど、
昨今は学校で起きることがすぐにマスコミで取り上げられるようになりました。
残念ながら論調は学校の対応批判です。
マスコミが学校や先生の批判を取り上げるのは、
それを世の中が求めているからでしょう。
学校で何か事件が起きたらすぐにワイドショーで特集し、
教育の専門家でも何でもない人がコメンテーターとして意見を言う。
よく見る景色です。
でも考えてみたら、それも当然です。
教育はだれにでも経験のあることで、簡単に意見できるからです。
スポーツはルールもわからない者が意見してもだれも聞きません。
株価の動向だったら、何のことかわからない人も沢山います。
誰でもに経験があり、誰でも意見でき、誰にでもわかる、それが教育の特質です。
一般化は歓迎です。
教育について、みんなが意見をもった方がいい。
大事なことなのですから。
問題は、教育が社会の攻撃の格好の的になっていることです。
いつの間にか若い先生が萎縮するようになってしまいました。
昔は若い先生ほど破天荒で、
学校祭などでは生徒と一緒にふざけたダンスを披露したり、
授業をつぶして自分の恋愛経験を話したり。
職員室で思いっきり叱っているのも若い先生でした。
生徒に年が近いからこそ柔軟な対応ができ、
本音でぶつかってくれる態度は生徒にも魅力的でした。
若い先生はいつも保護者の批判や生徒のSNSに怯えています。
本当は注意したいことも、グッとこらえる習慣になっています。
授業中にトイレに行きたい生徒、
もう少し堪えるように指示しただけで、
今晩保護者から電話あるかもと不安に思いながら放課後過ごします。
授業中騒いでいる生徒やに大声で注意したら、
その直後から心配しなくてはなりません。
該当の生徒が帰宅して、保護者に話し、保護者からクレームの電話がくる。
クレーム対応には疲労感しか残りません。
ひどい場合はネットで実名付きで拡散される。
そんな心配をするのなら、いくらその子のためと思っても、指導しない方がいいやと考えるのは当然でしょう。
一部の行き過ぎた指導が世間の批判の的になるのと同時に、信念を持って指導する機会も奪われているのです。
学校は小さな社会です。
教員集団もしかり。
若い人には若い人なりの良さも欠点もある。
それを認めて育てる余裕を社会が持たないともう教育現場は成り立ちません。
前置きが長くなりましたが、
若い先生には保護者の批判に臆せず頑張って欲しいなという思いを込めて、
保護者対応のいろはを書いてみます。
保護者からの電話 こんな時どうする?
高3の11月のことです。自分は3年のクラス担任。国立大志望の女子。名前は仮に沙耶さんとしましょう。一般入試では志望校にちょっと届きそうにないけれども、センターなし推薦なら可能性ありそう。なので、小論対策して11月の推薦入試を目指しています。小論指導は歴史のベテランの先生です。
ある日のお昼頃です。担任を名指しで、沙耶さんの母親から電話です。
「沙耶が今朝泣いて学校辞めたいって言い出した。何でも小論文の先生にひどいことを毎日言われてるそう。こんなんで受かるかとか、こんなことも知らないのかとか私も聞いてびっくりした。しかもそれを担任のあなたも知っていて見逃してるそうじゃありませんか、娘の大事な時期になんてことしてくれたんですか。これで娘が落ちたらどうしてくれるんですか?!責任とってもらいますよ!!」
とまぁすごい剣幕です。
さぁこんな時どうしますか?
最初の電話の対応はすごく大事!
まず、母親の訴えを適当に聞いてるふりは絶対ダメです。
どんなに装っても気持ちのない対応はわかります。
聞こうと思って聞くことです。
次に大事なことは、
自分の対応について保護者が腹を立てていて、
それが事実ならすぐに謝ることです。
謝ったら後で損害賠償させられると考えるのは間違いです。
損害賠償させられるような時には謝っても謝らなくてもさせられます。
むしろ始めにきちんと詫びれれば裁判にならないことも多いのです。
この場合、担任に対しての不満は、
「強い指導を見ていながら止めとくれなかった」
ことですから、事実ならすぐに謝ります。
謝ることはここでは二つです。
保護者の訴えを認め、謝罪した後は、
さらに自分で気づいた落度についても謝罪することが大事なのです。
保護者の申し出のさらに上をいくことで保護者からの信頼を得られます。
その時、知っていて止めなかった理由も少し述べられたら上出来です。
「自分も厳しい指導が続いていることは知っていました。それなのに止めなかったことは本当に申し訳ないと思います。
なにより、沙耶さんがこんなに傷付いていることに気づいていなかったことは私の落ち度です。私は厳しい指導だけれども頑張っているなと見ていました。でも、学校を辞めたくなるほど辛かったのですね。気付かないで申し訳ありませんでした。
今大事な時ですから、すぐに対応します。
今日帰りに沙耶さんを呼んで気持ちを聞いてもいいですか。できればお母様からお電話いただいたことも話したいのですが。」
これくらい言えたらまず母親は落ち着きます。
母親に落ち着いてもらわないと、
肝心の生徒の気持ちの立て直しができません。
大事なのは傷付いた生徒の気持ちを癒して、前向きに小論文指導に向かわせることですから。
【若い先生へ】保護者対応こんな時どうする?その2へ続く。
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