保護者対応 教師 こんなときどうする? その5 茶髪指導

茶髪の染め直し指導がマスコミでずいぶん取り上げられています。
今ここで大阪の学校の事例がどんな内容なのかここで検証することはできません。

双方からの正しい情報が伝わってきていないからです。
該当の生徒の意見と、学校の考えの両方をしっかり確認してから考えたいことです。

でも、どこの学校でも茶髪の染め直し指導は難しく、
慎重にしないと問題がこじれる危険が多くあることは事実です。

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ところで、さまざまな規則は、
その集団に属する人々全員が心地よく過ごすために作られたものです。

校則も同じです。
学校と言う一つの集団にいる生徒たちが
気持ちよく学校生活を送るために考えられたものです。

そして、また、校則は教師の立場を守るものでもあります。
規則を守っている生徒は指導する必要がなく、
規則を守らない生徒には、守ることを教えないといけません。
教師も規則にしたがって指導することになるわけです。
茶髪かどうかは、言い換えれば、規則を守っているかどうかを判別しているだけです。

学校での茶髪の是非は別の次元の問題です。

茶髪を許可するかどうかは別の機会に考えることとして、
今回は次のような規則の学校でこんなことが起きたらどうするかということを考えてみましょう。

ある高校の校則

茶髪について

茶髪についての校則

・生徒は毛染めをしてはいけない。
・もし毛染めをしたことが明らかになった場合は速やかに黒く染め直さなければならない。
・また故意に毛染めをしたのでなくても、ドライヤーの使いすぎなどで茶色く変色した場合も黒く染め直おす必要がある。
・ただし、水泳部やテニス部など日焼けによる茶髪はこの限りではない。
・毛染めをしたか否かについては担任と学年主任で判断し、その後生徒指導部長の確認をとる。
・染め直しは、指導後一週間以内に上記三名の教員にて確認する。

こんなことがありました

夏休み明けに急に茶色くしてきた生徒、瑞貴さん。
なんだか微妙な染め具合で、ちょっと明るくなったなというくらい。校則違反かどうか見極めが難しいところ。
でも生徒の間で瑞貴さんが髪を染めたと言っていたことが噂になっています。違反と言わざるをえません。
担任と学年主任とが相談して、指導することにきめました。

始業式後に廊下で、まず担任が注意しました。

担任
瑞貴さん、髪染めたよね。夏休み前はきちんとしてたのにどうしたの。
瑞貴
えっ 私、前からこういう色でしたよ。染めてませんよ。
担任
あら、そんなことないんじゃないの?もっと黒かったと思うんだけど。
瑞貴
えーー先生それは濡れ衣です。ほんとに染めてないんです。
担任
あーそうかしらね。明るくなったように思うけど。ちょっと学年主任の先生にも見てもらうわね。
学年主任
瑞貴さん、これは明らかに染めてますね。染めると髪が痛むからよくわかるのよ。染めてるなら自己申告してほしいわ。
瑞貴
染めてないのに何でそんなこと言われなくちゃならないんですか。ひどいです。
学年主任
では、とりあえず今日はそういうことにしておきましょう。また生徒指導部の先生方と相談してもう一度見せてもらうかもしれません。

これは学校現場でよく交わされているやり取りです。
染めていても
「染めてません」
と生徒はしばしば言います。

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一番いいのは校則違反をしないことです。

次にいいのは、もし校則違反をしてしまっても、
正直に話せるような人間関係を、日ごろから教師と生徒の間に築いておくことです。

でもそれはなかなか難しいことなのです。

この例では生徒の感情をかき乱さないように、
言葉を選びながら、慎重に、
しかもすぐに主任の先生も入れて対応している、とても上手です。

保護者からの電話 どう対応する?

先生は上手な指導をしましたが、夕方学校に瑞貴さんの保護者から電話がありました。どうも瑞貴さんは納得できていなかったようです。

瑞貴ママ
今日学校で、髪を染めたと言われたと瑞貴が言っています。濡れ衣を着せられたと泣いてます。うちの子は染めていないのに、どういうことですか。人権問題ですよ。

他もいろいろおっしゃいましたが、
お母様も瑞貴さんが茶色くしたことを知ってはいるものの
娘に泣きつかれて電話していらっしゃったようです。

さて結論から言うと、
保護者が染めていないと言うならもう指導できません。

保護者自身が子どもの毛染めに気づいていないこともありますが、
知っていながら、わが子を守るためと考えて電話される方もいます。
また、学校を攻撃することが我が子への愛情の証しだと勘違いしている保護者もいます。

本当におろかなことです。

学校で教えているのは、規則を守るということです

大事なことを学ばせようとしているのに、
この保護者のこういう行動は
「規則は守らなくても苦情を言えば逃れられる」
ということを教えてしまっています。

こういう保護者にはどうお話してもわかってもらえません。

担任
ああ、そうですか。
私も学年主任も夏休み中に染めたのかと思ったので指導しましたが、
お母様がそうおっしゃるのでしたら、
とんだ誤解でした。
申し訳ありません。

他にも夏休み中に違反して
染めたのにやっていないと嘘をつく子がいて、
学校としては本当に残念でならないのです。

規則を守ることを大人が教えないと、
子どもが将来社会に出たときに困りますよね。

社会経験のあるお母様でしたらきっとお分かりになると思います。

規則を守っていないことが、集団の中でばれたら、
仲間はずれにされたり、
ほかの仲間からつまはじきにされますもんね。

瑞貴さんは今回染めていなかったということで
そういう心配はありませんが、
世の中にでたら規則を守るということは、
人間関係を守ることにもなりますよね。

こんな風に話します。

すると翌日。

なんと瑞貴さん!髪を黒くして登校しました!

担任
あら瑞貴さん、黒くなってないかしら。
瑞貴
あぁ、私は染めていないのは本当なんです。
でも、先生から染めてるように見えるって事は、
みんなからもそう見えるって事だから、
いじめの対象になっちゃ嫌だから黒くしてきたんです。

ほんとに私茶髪にはしてないんですけどね。

最後の一言はもう追求したらいけません。

子どもが自分を守ろうとしてつく大事な嘘です。
だまされたふりをしていましょう。

担任
まあ、よくそこまで考えられたわね。夏休みに成長したわね。
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