小論文の勉強には時間もかかるうえに、
どのように採点されているのかわからず、
手のつけようがないという生徒も多くいます。
内容についての知識の習得や思考の訓練はここでは置いておいて、表現について考えます。
小論文の採点は、一般的にいくつかの分野ごとに配点をきめて、
その分野の採点基準を作る形で行われています。
たとえば
②論理性30点
③独自性10点
④説得力20点
⑤表現20点
という具合に分割して採点します。
論理性や、説得力の配点が高いことが多いのですが、
1点でも多くとるために、
「表現」の部分で減点されないことに気を遣いましょう。
高校生がよく間違える文例を以下にまとめました。
この表現には気をつけて、表現の部分では満点をとりましょう。
1主語と述語が不適応
「私が一番危惧することは、今の高校生はネットに依存するあまり、自分の頭で思考しなくなっています。」
こういう文をしばしば目にします。
主語が「~することは」なら述語は「~です」にしないといけません。
読み直せばすぐに気付くことです。
正しくは
「私が一番危惧することは、今の高校がネットに依存するあまり、自分の頭で思考しなくなっていることです。」
なども間違いです。
2副詞の呼応の不成立
①「まさか」
「その仕事をまさか私がやるのですか」
突然仕事を任されて、
私がやるのはちょっと手に余るから断りたいというような時に
「その仕事、まさか私がやるんですか」とはよく聞く良い回しです。
でも、
「まさか」は打消推量の表現と呼応するので、「まさか・・・ないだろう」が正しい表現です。
冒頭の言い回しは、
「その仕事をまさか私がやるのではないですね。」
が正解です。
②「たぶん」
これは、ほとんど一般的になっています。が実は間違いです。
「たぶん」は推量の表現と呼応しなければならないので、「たぶん・・・だろう」と結ばなければならないのです。
ですから、この場合は
が正しい表現です。
×「たぶん明日は晴れです」
ではなく
○「たぶん明日は晴れるでしょう」
に。
×「たぶん行かない」
は
○「たぶん行かないと思います」
に。
「思います」を推量の表現と見なせば、これは正しい表現です。
③「必ずしも」
こんな風に大きく間違えて使うことはあまりないですが、たまに見かけます。
「必ず」と「必ずしも」を混同している例を。
この場合は、
となります。
「必ずしも」は打消の表現と呼応します。
ですから「必ずしも・・・・ない」の形にします。
「必ずしも晴れるわけではない」「必ずしもできるとは限らない」などと使います。
④「まるで」
「まるで」には「みたいな・ような」が呼応します。
正しくは
となります。
⑤「さも」
「さも」は婉曲の表現ですので、「さも~ように、さも~みたい」と呼応しなければなりません。
となります。
3並列・列挙の表現の不完全
①「~たり」
列挙の表現「~したり」については、「~したり~したり」と続けて列挙しなければいけないのです。
です。
×「歩いたり、走った」
は間違い。
○「歩いたり走ったりした」
です。
②「と」
これは一般化しているので、この程度で減点をする学校は少ないですが、間違いです。
「~と」は並列の表現ですので、「~と~と」と二つ重ねて使わないといけません。
が正しいのです。漢文の「与」と同じです。
まとめ
小論文は勉強にも時間がかかり、当日まで力を入れて取り組みます。
それなのに、細かい間違いで減点されたとしたら非常に悔しい思いが残ります。
「この論文はなかなか論理性に富んだ内容になっているが、文章表現でこれだけの減点があるのは残念」
という話にならないように、見直しの時には文章表現に気をつけることも大切です。